TOEICは、英語によるコミュニケーション能力をスコアで測定する試験です。
日本で一般的に「TOEIC」と呼ばれているのは、主にTOEIC Listening & Reading Test(TOEIC L&R)を指します。
試験はリスニングとリーディングの2セクションに分かれており、合格・不合格ではなく10~990点のスコアで英語力が評価されます。
TOEICは受験者によって目標スコアが違います。そのため、教材も「一番人気の本」ではなく、自分の現在のスコアと目標スコアに合ったものを選ぶことが重要です。
ここでは、TOEIC初心者から600~800点以上を目指す人まで使いやすい、おすすめのテキスト・単語帳・問題集を紹介します。
TOEIC L&Rの試験内容
TOEIC L&Rは、リスニング約45分・100問、リーディング75分・100問、合計約2時間で200問に解答するマークシート方式の試験です。
| セクション | 試験時間 | 問題数 | スコア |
|---|---|---|---|
| リスニング | 約45分 | 100問 | 5~495点 |
| リーディング | 75分 | 100問 | 5~495点 |
| 合計 | 約2時間 | 200問 | 10~990点 |
テストはすべて英文で構成されており、英文和訳や和文英訳の問題はありません。
また、英検のように「○級合格」と判定される試験ではありません。
例えば同じ試験を受験しても、就職活動なら600~700点、英語を使う部署への配属ならさらに高いスコアなど、必要な点数は目的によって変わります。
TOEICのテキスト・問題集の選び方
TOEICは教材の種類が非常に多い試験です。
単語帳、文法、リスニング、Part 5、Part 7、模試など、分野ごとに専門教材が大量に販売されています。
そのため、最初から何冊も購入する必要はありません。
| 現在のレベル・目的 | 優先したい教材 |
|---|---|
| TOEICを初めて受験する | 公式問題集+基礎英文法 |
| 単語が分からず問題文が読めない | TOEIC専用単語帳 |
| Part 5で時間がかかる | 文法問題集 |
| リスニングが苦手 | 公式音声を使える教材 |
| 700~800点以上を狙う | 公式問題集+弱点パート専用教材 |
特に初受験なら、まず公式問題集で現在の実力を確認してから追加教材を選ぶと、必要のない本を買わずに済みます。
まず買いたい|公式TOEIC Listening & Reading 問題集12
TOEICを受験するなら、最も優先度が高いのが「公式TOEIC Listening & Reading 問題集12」です。
2025年10月に発売された公式問題集シリーズの最新版です。
TOEIC本試験を制作しているETSが、本番と同じプロセスで作成した問題が収録されています。
収録:200問×2回分=400問
リスニング:本番と同じ公式スピーカー
音声ダウンロード対応
市販の模試も多数ありますが、TOEICでは問題文の作り方、選択肢の紛らわしさ、リスニング音声など、本番特有の感覚があります。
そのため、少なくとも1冊は公式問題集を持っておきたいところです。
初受験の人が最初に1冊だけ買うなら、専門的な文法書よりもまず公式問題集がおすすめです。
単語帳なら – TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ 増補改訂版
TOEICの単語帳として定番なのが、TEX加藤氏の「TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ」です。
長年販売されてきた人気教材ですが、2026年1月に増補改訂版が発売されました。
これから購入するなら旧版ではなく、最新版を選んだ方がいいでしょう。
発売:2026年1月
価格:990円(税込)
全単語・フレーズの無料音声付き
単語は目標スコア別に分けられています。
- 600点レベル
- 730点レベル
- 860点レベル
- 990点レベル
そのため、600点を目指している人が最初から990点レベルの難単語まで覚える必要はありません。
自分の目標スコアまでを優先できるのが、この単語帳の使いやすいところです。
旧版の「金のフレーズ」をすでに持っている人が必ず買い直す必要はありませんが、新しく購入するなら2026年発売の増補改訂版がおすすめです。
公式単語帳なら – 公式TOEIC Listening & Reading 英単語
「単語帳も公式教材を使いたい」という人には、「公式TOEIC Listening & Reading 英単語」という選択肢もあります。
2026年1月に発売された新しい公式単語帳で、過去のTOEICテストから厳選された1,800語を収録しています。
金のフレーズがTOEIC対策講師による頻出語分析を強みにしているのに対し、こちらは公式教材であることが最大の特徴です。
| 単語帳 | 特徴 |
|---|---|
| 金のフレーズ 増補改訂版 | 目標スコア別で覚えやすく、TOEIC対策の定番 |
| 公式TOEIC L&R 英単語 | 過去の公式問題から厳選された1,800語 |
両方を購入する必要はありません。単語帳は基本的にどちらか1冊で十分です。
英文法が苦手なら – TOEICテスト 中学英文法で600点!
TOEICの問題以前に、「中学英語の文法をかなり忘れている」という人には、「TOEICテスト 中学英文法で600点!」が候補になります。
TOEICでは難しい英文だけが出るわけではなく、Part 5では品詞、時制、前置詞、接続詞など基礎的な文法知識がそのまま問われます。
そのため、be動詞や現在完了、関係代名詞などの基本事項が曖昧な状態で「でる1000問」のような問題集へ進むと、解説を読むだけで時間がかかってしまいます。
一方、すでに600点前後取れている人なら、内容が簡単すぎる可能性があります。
Part 5対策なら – TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問
リーディングのPart 5を重点的に強化したいなら、現在も定番なのが「TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問」です。
タイトルは「1000問」ですが、実際には1,049問を収録しています。
Part 5で出題される文法事項を大量の問題で確認できるのが特徴です。
著者:TEX加藤
収録:1,049問
対象:Part 5の文法対策を集中的にしたい人
ただし、TOEIC初心者全員におすすめする本ではありません。
問題数が非常に多いため、まず公式問題集を解いてみて、Part 5の正答率が低い、またはPart 5に時間がかかりすぎる人が追加する使い方が向いています。
TOEICのリーディングは75分で100問あります。Part 5だけを完璧にしても、Part 7の長文を最後まで読めなければスコアは伸びにくいため、文法だけに時間を使いすぎないようにしましょう。
リスニングが苦手なら公式教材を優先する
TOEICのリスニング対策では、単に英語をたくさん聞くだけでなく、TOEIC特有の会話やナレーションに慣れることが重要です。
Part 1の写真描写問題、Part 2の応答問題、Part 3の会話問題、Part 4の説明文問題では、それぞれ聞き方が異なります。
このため、まずは公式問題集の音声を使うのがおすすめです。
公式問題集は本番と同じ公式スピーカーによるリスニング音声を収録しているため、本番に近い条件で練習できます。
Part 3・4が苦手なら「公式TOEIC L&R Part 3 & 4 音声速解」
特にPart 3・Part 4の長めのリスニングになると話についていけない人には、「公式TOEIC Listening & Reading Part 3 & 4 音声速解」もあります。
2024年12月発売の公式教材で、会話やトークの音声に遅れずについていき、内容を素早くつかむことに特化しています。
公式問題集を解いてみて、Part 1・2よりPart 3・4で大きく失点している人向けです。
リーディングはPart 5よりPart 7の時間不足に注意
TOEICのリーディングは75分で100問です。
内訳は、Part 5が30問、Part 6が16問、Part 7が54問となっています。
つまり、リーディングの半分以上をPart 7が占めています。
文法問題集だけを大量に解いていても、長文を読む速度が遅いままだと最後まで到達できません。
公式問題集では「何問正解できたか」だけでなく、「75分以内に200番まで到達できたか」も確認しましょう。
Part 7で時間切れになる人は、語彙不足だけでなく、本文を何度も読み返している、設問ごとに本文の最初まで戻っているなど、読み方そのものに問題がある場合もあります。
TOEIC初心者なら教材は3冊程度で十分
TOEICは教材が多いため、「あの本も必要、この本も必要」と増えやすい試験です。
しかし600~700点程度を最初の目標にするのであれば、最初から10冊近く買う必要はありません。
| 用途 | おすすめ |
|---|---|
| 本番形式 | 公式TOEIC L&R 問題集12 |
| 単語 | 金のフレーズ 増補改訂版 または公式英単語 |
| 英文法が苦手 | 中学英文法で600点! |
| Part 5が弱い | でる1000問 |
| Part 3・4が弱い | 公式 Part 3 & 4 音声速解 |
まず公式問題集と単語帳を用意し、そこから自分の弱いパートに応じて1冊追加するくらいでも十分です。
600点を目指す人と800点を目指す人では教材が違う
TOEICでは、目標スコアによって優先する内容がかなり変わります。
500~600点を目指す場合
この段階では、難しい表現を増やすよりも、中学~高校基礎レベルの英文法とTOEIC頻出語彙を固めた方がスコアにつながりやすくなります。
Part 5で文の構造が分からない、リスニングで知っている単語すら聞き取れないのであれば、高得点者向け教材へ進む必要はありません。
700~800点を目指す場合
700点台以上になると、基本問題を正解するだけでなく、Part 3・4の聞き逃しやPart 7の時間不足を減らす必要があります。
このレベルでは「英文法をもう一度最初から」ではなく、公式問題集で失点しているPartを確認し、専用教材を追加する方が効率的です。
900点以上を目指す場合
900点以上になると、基礎教材だけでは不足します。
難度の高い語彙や細かな文法だけでなく、200問をほぼ時間内に処理するスピードと正確性が求められます。
このレベルでは、公式問題集を複数冊使うほか、苦手Part専用教材や高得点者向け模試を追加した方がいいでしょう。
古い公式問題集は使える?
TOEICは2016年に現在の出題形式へ変更されているため、それ以降の公式問題集であれば基本的な問題形式は現在と共通しています。
そのため、すでに公式問題集10や11を持っている人が、必ず12へ買い替えなければならないわけではありません。
ただし、新しく1冊購入するのであれば、現在は公式問題集12を選ぶのが自然です。
TOEICには「過去問」が市販されているわけではない
資格試験によっては、過去に本試験で出題された問題をまとめた「過去問題集」が販売されています。
TOEICの場合、一般的な資格試験のように本試験の過去問がそのまま公開・販売されているわけではありません。
代わりに、ETSが本番と同じプロセスで制作した問題を収録した公式TOEIC Listening & Reading 問題集があります。
したがって、TOEIC対策では「過去問を買う」というより、公式問題集を本試験形式の問題として利用すると考えた方が正確です。
結局どの教材がおすすめ?
TOEICを初めて受験する人なら、まずおすすめしたいのは「公式TOEIC Listening & Reading 問題集12」です。
本番形式を知らない状態で、単語や文法だけを勉強しても、自分がどのPartで失点するのか分かりません。
そこに単語帳として「金のフレーズ 増補改訂版」または「公式TOEIC Listening & Reading 英単語」を追加する組み合わせが使いやすいでしょう。
そのうえで、Part 5が弱ければ「でる1000問」、中学英文法そのものが怪しければ「中学英文法で600点!」、Part 3・4が苦手なら公式の「Part 3 & 4 音声速解」を追加します。
TOEICは「おすすめ教材を全部買う」のではなく、公式問題集で弱点を確認して、その弱点に合う教材だけを追加するのがおすすめです。
まとめ
TOEICは合否を競う試験ではなく、10~990点のスコアで現在の英語力を測定する試験です。
そのため、全員にとって同じ教材がベストというわけではありません。
初受験なら公式問題集12、単語を増やすなら2026年に増補改訂された金のフレーズ、Part 5を強化するならでる1000問、と目的別に選ぶのがおすすめです。
特にTOEICはリスニング100問・リーディング100問を約2時間で処理する試験なので、単語や英文法だけでなく、本番形式そのものに慣れることも重要です。
教材を増やしすぎず、自分の目標スコアと苦手Partに合ったものを選びましょう。
