実験動物技術者は2級及び1級があり、実験動物を普段使用している人であれば難易度が高いものではありません。
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実験動物技術者の勉強法
2級
学科試験
学科試験の内容は公益社団法人日本実験動物協会が作成した「実験動物の技術と応用(入門編)」から択一問題として出されますので必ず購入してください。
逆にこのテキスト内に触れられていないところは出題されません。
試験は総論と各論に分かれており、総論は主にげっ歯類を中心とした環境整備や倫理、歴史などがほぼ満遍なく出題されます。
普段実験動物を使用している方でも、SPF環境の施設ではない方や、マウスの取り扱いをしてない場合は初めての事柄も多いですので、
特に重点的に学習をしてください。また、施設によって独自の取り扱い方などがあるかと思いますが、試験ではテキストに書いてあることが正しい答えですので、多少疑問な部分があってもそういう作法なのだと割り切ってしまいましょう。
また、試験では意外とテキストの脇に小さな文字で書かれている部分から出題されるほか、テキストに描いてあるイラストがそのまま出題されるので、特に設備の構造などは文字ではなくイラストを見て判断できるようにしなければなりません。
各論は9種の動物種から1種を選択して試験を行います。
実技も同一の動物種でなければならないので、自分が普段取り扱っている動物種を選択します。内容については系統名と毛色、基礎的な疾病、ナンバリング法など、普段取り扱っていればほとんど勉強をしなくても点数が取れる内容です。
ただ、テキスト自体は白黒印刷なので、特に毛色などについてはインターネットで系統を検索して瞳の色と毛色を確認しておきましょう。
日本実験動物協会では過去問をPDFで公開しています。
過去5年分位は必ずおさらいし、それでも不安がある人は実験動物技術者認定試験対策研究会が対策の問題集を出していますので、それを使って勉強すると良いでしょう。
協会が通信教育も行っておりますが、普段取り扱っていることから逸脱する内容ではないので受ける必要はありません。
実技試験
実技試験は学科試験合格者に課せられます。
げっ歯類の場合はマウス、ラット、モルモット、スナネズミの判別がありますので、不安な人はインターネットで一度検索をしてください。
スクーリングに参加すると実技が免除になりますが、独学の場合は協会が実技用のテキストを販売してますので必ず購入してください。
2級用と1級用のテキストがありますが、できれば2級だけの受験でも両方購入した方が良いです。どの動物種でも保定と薬物投与は必須課題なので、実技用のテキストと同じ保定方法と薬物投与法を間違えずにできるようにしましょう。
テキストと異なる方法で行うと評価が下がります。
1級
学科試験
1級は「実験動物の技術と応用(実践編)」から出題されます。1級はマウスが必須となるので、普段ラットやモルモットなどほかの動物種を扱っている人には難易度が非常に高くなります。
できるなら、試験対策として実際にICRなどのマウスを購入して飼育や投与練習、解剖を行ってください。
学科試験の勉強方法は2級と変わらず、基本的に総論を集中的に学習することが重要になります。特に病原菌や症状などが多岐にわたるため、細菌の顕微鏡写真をみて特定できることと、動物の症状を見て何に感染しているか判断できるようにします。
これも、テキストに掲載されている写真しか問題に出ませんので、映像として覚えておくようにしましょう。
実技試験
実技はマウスの膣垢などの判別や採血、麻酔、解剖と多岐にわたります。
特に繁殖については施設によってしていない場合が多いので、高度技術者養成実習テキストを熟読するほか、手術や採血の手技についてはYOU TUBEなどで動画が多数ありますので、それを参考にして頭の先から足の先まで解剖ができるようにしましょう。
また、秀潤社から出版されている「マウス解剖イラストレイテッド」は解剖方法がテキストとDVDで説明されているので、普段マウスの取り扱いがない人で金銭的に余裕のある人は購入した方が良い本です。
まとめ
基本的に実験動物技術者は2級を取得していれば困ることはほとんどありません。
2級は内容も基本的な部分しか出題されず、毎回出題の傾向が大幅に変わることなく万遍に出題されるので、過去問と問題集を一度解いてみて、解答できなかった問題の内容についてテキストを熟読するという形で問題なく合格することができます。
実技は実技試験の概要が公開されていますが、実習テキストに掲載されている技術しか出題範囲になりません。
手技は施設ごとにやり方があるかと思いますが、テキストに掲載されている方法が正しい方法=合格する方法ですので、普段の取り扱いの際に意識して作業し、体に覚えさせるようにしましょう。
実験動物技術者のテキスト紹介
「実験動物の技術と応用 入門編」は必須です。
必要に応じて「実験動物技術者 対策問題集」を購入して下さい。
難易度(勉強時間)
2級、1級ともに学科試験の難易度は高くありません。
公式テキストに掲載されている通りにしか出題されず、知識を応用する問題は皆無です。素直にテキストに書かれている事を図表を含めて覚えれば誰でも合格できます。
マウス、ラットを普段取り扱いしている人であれば40時間程度です。
年1回の試験なので、試験日から半年以上前から学習する場合は、一度テキストを通読し、過去問や問題集を解き、不正解の部分について再読すれば良いです。
時間があるときに系統の毛色や動物種などをインターネットで画像検索して確認しておくと良いでしょう。試験日まで時間がない場合は、とにかく総論を中心に過去問を解き、できなかった部分をテキストで確認する作業に集中します。
マウスの個体識別は毎年出題されるので、耳パンチと色素識別は図を見て番号を答えられるように練習しておきましょう。
実技試験については1級の場合繁殖や採血、投与法など、普段使っていない手技が出題範囲になる場合があります。
できれば試験前にマウスを購入して実際に手技を確認するか、それが難しい場合はインターネットの動画やマウス解剖イラストレイテッドで良く学習をしておいた方が良いです。
試験情報
- 資格種別:民間資格
- 資格区分:1級、2級
- 受験資格:あり
- 試験日:1級:9月(筆記試験)、11月(実技試験)、2級:8月(筆記試験)、11月(実技試験)
- 試験場所:東京、大阪、京都など
- 問い合わせ先:公益社団法人 日本実験動物協会