CATV技術者資格は、ケーブルテレビ施設の設置・運用・維持管理などに必要となる技術知識を証明するための資格制度です。
以前は会場で講習を受け、その後に試験を受験する方式が中心でしたが、現在は制度が大きく変更されています。
現在のCATV技術者資格では、基本的に
eラーニングで講習を受講する
↓
全国のテストセンターでCBT試験を受験する
↓
合格後に資格を取得する
という流れになります。
また、現在の資格は、
- 第2級CATV技術者
- 第1級CATV技術者
- CATV総合監理技術者
の3種類。
この記事では、現在のCATV技術者資格制度をもとに、試験の特徴やおすすめの勉強法について紹介します。
CATV技術者資格制度とは
CATV技術者資格制度は、一般社団法人日本CATV技術協会が実施している資格制度です。
CATV施設の設置・運用・維持管理などに必要となる技術水準の向上を目的としており、1983年に始まった「有線テレビジョン放送技術者資格制度」を前身としています。
現在は制度が再編され、
第2級CATV技術者
第1級CATV技術者
CATV総合監理技術者
の3段階になっています。
以前存在していた「CATVエキスパート」は2026年3月31日をもって廃止されました。
昔のCATV技術者試験を知っている人ほど、
「資格の名前が違う」
「試験科目が変わっている」
「講習会はどこに行けばいいの?」
と混乱するかもしれません。
現在は講習そのものがeラーニング化されているため、昔の受験体験記とは試験対策もかなり変わっています。
CATV技術者資格は実務経験がなくても受験できる
CATV関係の資格ということで、
「CATV会社で働いていないと受験できないのでは?」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、第2級CATV技術者、第1級CATV技術者、CATV総合監理技術者ともに、受験に実務経験は必要ありません。
所定のeラーニング講習を受講し、試験に合格すれば資格取得を目指せます。
ただし、試験内容は当然CATVに関するものです。
CATV・通信・放送設備などの業務経験がある人なら、普段から目にしている用語が多いため入りやすいでしょう。
一方、完全な初心者の場合は専門用語の意味から覚える必要があるので、その分だけ勉強時間は多めに考えておいた方がいいでしょう。
CATV技術者資格の種類と試験科目
現在の資格によって必要となる科目が異なります。
第2級CATV技術者
第2級CATV技術者では、
「CATVの基礎」
の1科目を受講・受験します。
CATVについて初めて本格的に勉強する人や、基礎的な知識を身につけたい人向けの資格です。
上位資格に比べて試験範囲も絞られているため、まずCATV技術者資格を取得したい人には第2級から挑戦する方法もあります。
第1級CATV技術者
第1級CATV技術者では、
「システム」
「調査・施工」
の2科目が必要です。
CATV設備のシステムだけでなく、実際の調査や施工に関する知識まで求められます。
第2級よりも専門性が高くなり、業務でCATV設備に関わっている人向けの内容が中心です。
CATV総合監理技術者
CATV総合監理技術者では、
「システム」
「調査・施工」
「ブロードバンド」
の3科目を受講・受験します。
CATV技術者資格の中では最上位に位置する資格です。
CATV設備だけでなく、通信・ブロードバンド分野を含めた幅広い知識が求められます。
なお、第1級CATV技術者を取得している場合は、ブロードバンド科目に合格することでCATV総合監理技術者を取得できます。
CATV技術者資格の試験はeラーニング+CBT
現在のCATV技術者資格試験では、以前のように会場で何日間も講義を受ける方式ではありません。
講習はeラーニングです。
パソコンやスマートフォンなどを使って、自分のペースで講習を進めます。
講習終了後、全国に設置されているテストセンターを予約し、CBT方式で試験を受験します。
CBTとは「Computer Based Testing」の略で、試験会場に設置されたパソコンを使って問題に解答する試験方式です。
つまり現在は、
「講義会場で必死に付箋を貼って、その場で出題範囲を聞き逃さないようにする」
という昔ながらの試験対策ではなくなっています。
自宅でeラーニングを繰り返し確認できるため、以前より自分のペースで勉強しやすくなったといえるでしょう。
CATV技術者資格の合格基準は60%
試験の合格基準は、各科目60%以上です。
第2級CATV技術者なら「CATVの基礎」で60%以上を取れば合格。
第1級CATV技術者やCATV総合監理技術者の場合は、それぞれ必要となる全科目で60%以上を取る必要があります。
「満点を取らないといけない試験」ではありません。
重要なのは、苦手分野を完全に捨ててしまわないことです。
例えば得意なシステム分野だけを完璧に勉強しても、別科目が60%を下回ればその科目には合格できません。
そのため、
得意科目で高得点を狙うより、まず全科目を60%以上へ持っていく
という考え方で勉強するのがおすすめです。
CATV技術者資格のおすすめ勉強法
まず公式テキストとeラーニングを中心に勉強する
CATV技術者資格は、書店でたくさんの対策問題集が販売されているタイプの資格ではありません。
基本となるのは、日本CATV技術協会が用意しているテキストとeラーニングです。
そのため、
「おすすめ参考書を10冊比較する」
ような資格ではなく、公式教材をどこまで理解できるかが重要になります。
まずeラーニングを一通り受講し、どのような内容が出てくるのか全体像を把握しましょう。
最初からすべて暗記する必要はありません。
1周目は、
「CATVではこういうことを勉強するんだな」
くらいでも構いません。
その後、テキストを確認しながら2周目、3周目と進めていく方が理解しやすくなります。
専門用語はまとめて覚える
CATVの勉強では、とにかくアルファベットの略語がたくさん登場します。
放送・通信の世界では、
ONU
TCP/IP
QAM
など、略語を避けて通れません。
最初は、
「アルファベット3文字ばっかりで何が何だか分からない」
となる可能性があります。
そこでおすすめなのが、分からなかった略語だけをノートやスマートフォンへまとめておく方法です。
例えば、
略語|正式名称|何をするものか
の3項目だけを整理します。
細かい説明を丸ごと書き写す必要はありません。
「この略語を見たら何のことか説明できる」
くらいまで覚えておけば、問題を解くときもかなり楽になります。
数字はまとめて暗記する
CATV関係の試験では、規格や設備に関係する数値も覚える必要があります。
数字は文章よりも記憶に残りにくいため、何となくテキストを読んでいるだけではなかなか覚えられません。
数字が並ぶ表については、
見る→隠す→書く→答え合わせ
を繰り返す方法がおすすめです。
昔の試験でも数値暗記は大きなポイントでしたが、この点については現在でも技術系試験対策の基本は変わりません。
特に似た数字が複数登場する部分は混同しやすいので注意しましょう。
dBの計算には慣れておく
CATV設備では「dB(デシベル)」が頻繁に登場します。
業務経験者なら見慣れていると思いますが、CATVや通信分野を初めて勉強する人にとっては最初の壁になりやすい部分です。
dBはCATV設備における信号レベルや損失、増幅などを理解するときに欠かせません。
試験対策として公式教材に出てくる計算方法を確認するだけでなく、
「なぜ足すのか」
「なぜ引くのか」
くらいは理解しておいた方が応用問題にも対応しやすくなります。
ただし、高度な数学を一から勉強し直す必要はありません。
CATV技術者試験で必要になる範囲を中心に練習すれば十分です。
QAMなどCATV特有の用語はイメージまで理解する
初心者が苦戦しやすいものの一つが変調方式です。
CATVではQAMなどの用語が登場します。
文字だけ暗記してしまうと、
「QAMという名前は覚えている。でも何なのかは知らない」
という状態になりがちです。
可能であれば、単語だけではなく、
何のために使われる技術なのか
までセットで覚えましょう。
技術系資格では、意味を理解したうえで覚えた方が結果的に暗記量を減らせます。
第1級・CATV総合監理技術者は科目ごとに分けて勉強する
第1級やCATV総合監理技術者では複数科目を勉強する必要があります。
一度に全部覚えようとするとかなり大変です。
そこで、
システムの日
調査・施工の日
ブロードバンドの日
というように科目を分けて勉強するのがおすすめです。
1日で3科目を少しずつ勉強するより、
「今日は調査・施工だけ」
と決めて集中した方が内容を整理しやすくなります。
特に「調査・施工」は、設備や測定、施工方法など幅広い内容が含まれるため、早めに取り掛かった方が安心です。
科目合格制度も活用できる
第1級CATV技術者やCATV総合監理技術者では、一部の科目だけ合格した場合、その科目は「科目合格」として扱われます。
現在、科目合格の有効期間は2年間です。
そのため、
「3科目全部を一発で合格しないと資格取得は不可能」
というわけではありません。
例えばCATV総合監理技術者で、
システム○
調査・施工○
ブロードバンド×
だった場合、合格した科目については有効期間内であれば次回以降に活かすことができます。
仕事をしながら勉強している人にとってはありがたい制度です。
とはいえ、科目合格には有効期限があるため、
「そのうち残りを取ろう」
と放置しすぎないようにしましょう。
試験直前は新しいことを覚えすぎない
CATV技術者資格は専門用語や数字が多いため、試験直前まで新しいことを覚えようとすると頭の中がごちゃごちゃになりやすくなります。
試験3日ほど前になったら、新しい範囲を広げるよりも、
- 間違えた問題
- 覚えにくい数字
- 略語
- 計算方法
- eラーニングで理解できなかった部分
を集中的に復習しましょう。
特に、
「何度見ても忘れる」
という項目だけを一覧にしておくと試験前日の確認が楽になります。
試験前日にテキストを最初から読み直すのは効率がよくありません。
苦手なところだけを何度も潰していきましょう。
CATV業界未経験者は少し早めに勉強を始めよう
CATV業界で働いている人であれば、テキストに登場する設備や用語の多くを業務で見たことがあるはずです。
そのため、
「名前は知っている」
「仕事で触ったことがある」
という状態から勉強を開始できます。
一方、業界未経験者の場合は専門用語の意味から覚えなければなりません。
特に、
- CATV設備の基本構成
- 光ファイバー
- 同軸ケーブル
- 信号レベル
- dB
- 変調方式
- IP通信
などの基礎知識を先に理解しておくと、その後のeラーニングがかなり分かりやすくなります。
丸暗記だけでも対応できる部分はありますが、上位資格になるほど「意味を理解している方が圧倒的に覚えやすい」と感じるはずです。
CATV技術者資格の難易度
CATV技術者資格は、司法試験や電験のように極端に難易度が高い試験ではありません。
合格基準も各科目60%以上です。
ただし、
簡単=勉強しなくても受かる
という意味ではありません。
CATV業務に慣れている人でも、普段担当していない分野については知らない用語が多く出てきます。
また、数字やアルファベットの略語が大量に登場するため、
「内容が難しいというより、覚えることが多くて大変」
と感じる人もいるでしょう。
CATV業界経験者なら比較的入りやすく、未経験者なら専門用語を覚える分だけ難易度が上がる資格と考えておくといいでしょう。
CATV技術者資格の受験料
2026年時点の料金は次のようになっています。
第2級CATV技術者:19,360円
テキスト代、eラーニング受講料、CBT受験料、事務手数料を含んだ料金です。
第1級CATV技術者:39,380円
3冊のテキスト代、2科目のeラーニング受講料・CBT受験料などを含みます。
CATV総合監理技術者:55,440円
4冊のテキスト代、3科目のeラーニング受講料・CBT受験料などを含みます。
なお、合格後に技術者証を発行する場合は、別途3,300円の発行手数料が必要です。
料金については改定されることがあるため、申し込み前に日本CATV技術協会の公式サイトで最新料金を確認してください。
CATV技術者資格には5年間の有効期限がある
CATV技術者資格は、一度取得すれば一生使える資格ではありません。
有効期間は5年間です。
資格を継続する場合は、有効期限までに更新手続きを行います。
以前は「更新課題レポート」を提出する方法もありましたが、この制度も変更されています。
更新課題レポートによる更新は2026年9月末で廃止され、以降はeラーニングによる更新に一本化されます。
つまり、昔の受験体験談などに書かれている、
「数年ごとに論文・レポートを提出して更新する」
という情報についても今後は古い情報になります。
資格取得後はMyPageの登録住所などを最新の状態にしておき、更新案内を見逃さないようにしましょう。
昔のCATV技術者試験の体験談は参考にしすぎない
CATV技術者資格について検索すると、
「講習会で付箋を大量に貼った」
「講師が出題範囲を教えてくれた」
「法規はテキスト持ち込みだった」
「講習直後に試験を受けた」
といった体験談が出てくることがあります。
これらは以前の試験制度では実際に行われていた勉強法ですが、現在は制度そのものが変更されています。
講習はeラーニング、試験はCBT方式となっているため、昔とまったく同じ勉強方法では対応できません。
特にCATV技術者資格は制度変更が比較的多い資格です。
ブログや掲示板の体験談だけで判断せず、受験する年度の日本CATV技術協会公式情報を必ず確認することをおすすめします。
まとめ
CATV技術者資格の勉強では、市販の参考書を大量に購入する必要はありません。
基本となるのは、日本CATV技術協会のテキストとeラーニングです。
まずeラーニングで全体像をつかみ、
専門用語を理解する
↓
数字や略語を覚える
↓
計算問題を練習する
↓
苦手分野を繰り返し復習する
という流れで勉強するといいでしょう。
CATV業界で実務経験がある人なら見慣れた内容も多いですが、上位資格ではシステム・調査施工・ブロードバンドと幅広い知識が必要です。
決して「何もしなくても受かる試験」ではありませんが、合格基準は各科目60%以上。
満点を狙う必要はありません。
試験範囲全体をバランスよく学習して、まずはすべての科目で60%を超えることを目標にしましょう。
