「基本情報処理技術者」とは、情報処理推進機構(IPA)という経済産業省の外郭団体が主催する国家試験です。
IT技術者として基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者が取得対象であるとされています。「基本」という定義の通り、情報理論の基礎の基礎を問われます。「CPUとは?」「○○を2進数に変換すると」などです。
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基本情報技術者の基本的なテキストの選び方
このように入門用の資格であることから、受験者の知識範囲やスキルの幅がとても広い実態があります。未経験の方から、既に数年の実務経験を有する方まで。実際は新人研修が終わったばかりの方も多いです。
例えば、就職先の指示で取得しなければならないけど、業界未経験という場合は、アルゴリズムの突っ込んだ内容のテキストを買ってしまうと後悔するでしょう。受験者の習熟度に合わせたテキスト選びがポイントです。一概に「このテキストが一番!」と言いにくい試験の一つです。
おすすめは、まず公式サイトに公開されている過去問題を解くことです。試験は午前・午後の二部構成です。まずはは順に解いて、自分のレベルを測定してください。
その結果、ある程度の理解があるなら午後試験に重きをおいたテキストや過去問題がよいでしょう。
一方、そもそも午前試験から、いまいち理解できない方は、午前試験の対策に特化したテキストがよいです。まずはコンピュータの基礎を理解しましょう。
基本情報技術者のお勧めテキスト
これらの事情を踏まえ、以下の4つのテキストをお勧めします。
基本情報技術者 合格教本
情報処理技術者試験の分野では知らない人はいない出版社の、鉄板参考書です。
図解が多く、どちらかというと午前試験に重きを置いた入門者向けのテキストです。長年の蓄積に基づいた出題分析による章末問題が散りばめられています。広い分野をうまく章立てで解説しているため、とても理解しやすいです。秀逸の一冊です。
ちなみに「午前問題の弱点を分析・反復学習ができる学習用ソフト」の収録をウリにしていますが、こちらはあまり期待しないほうがよいです。解答はあっても解説はないので、公式サイトの過去問題と、あまり変わりません。
うかる! 基本情報技術者 午後・アルゴリズム編
福嶋宏訓先生という、情報処理技術者試験の対策本では名のある先生の著書です。
基本情報技術者の疑問は午後試験であると言われます。学生時代や実務でプログラミング経験がある方には、何ということはない問題なのですが、そうでない方には厳しいとされています。
プログラムのコードの一部が空白になっていて、空白を埋めるだけの問題なのですが、それを選ぶために、結局はコードの流れを全部理解する必要があるといった具合です。
この「コードの流れを理解する」に重きを置いたテキストです。あくまで、全体を理解するための手法や、テクニックを解説しています。
特定の言語における命令や呼び出し方を解説しているわけではないので、午後試験に向いているテキストといえます。おすすめです。
情報処理教科書 情報処理試験の計算問題がちゃんと解ける本
午前試験の失敗として「ひとつの計算問題に時間と脳みそをかけすぎて、他の問題が終わらなかった」ということが挙げられます。
情報処理(コンピューター)の世界には、2進数や16進数、論理演算など、数学の世界とも少し違う計算の世界があります。この手の問題は、言葉の意味だけ覚えても何も役に立ちません。
「引き算とは、ある基準の数から、特定の数を減じた、残り」なんて定義を覚えたところで、引き算ができないのと一緒です。そこに役立つのがこの一冊です。
情報処理の計算問題に特化している一冊です。実際に出題された過去の計算問題から、計算の手法や勘所を導き出し、解説しています。
キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者
テキストの内容がかなり丁寧に作り込まれています。イラストが多用され、漫画形式で解説されているので、ITという難しい分野で、これから初めて勉強される方にはお勧めできます。
ただ、あくまで基礎的な解説しかしていないので、これ1冊で合格するのは難しいです。
基本情報技術者のお勧め問題集・過去問
つぎに、問題集・過去問を、2冊紹介します。
基本情報技術者パーフェクトラーニング過去問題集
過去問の解説のわかりやすさでは、秀逸です。そもそも、過去問を入手するだけなら、公式サイトでPDFをダウンロードすればよいだけなので、高いお金を払って、過去問を購入する価値はありません。
過去問に求められるのは、解説の質と充実。そして使いやすさです。
この過去問は、見開き構成になっていて、「解く」→「正解チェック」→「確認」がページをめくらずにできます。電車でペラペラページを前後するわけにはいきませんから、 使いやすさもよいです。
難易度や頻出度合いも補足されていますから、効率的に学習できます。
基本情報技術者 午後試験対策
アイテックIT人材教育研究部という、情報処理技術者試験の研修や模試で有名な団体が編集した過去問です。
午後の対策に重きをおいていますので、休日などにじっくり腰を据えて行う学習に向いています。記述が少し堅苦しく、基礎知識は持っている人向けです。最後の仕上げに、この本で対策しましょう。
いかがでしょうか。皆様の学習の一助となれば幸甚です。
参考記事 基本情報技術者の独学勉強法